2016-06-25 傷 彼女と、彼女の愛する人々を護れれば。…近衛になった理由だ。ザシュッ!「…現を抜かしている場合ではないな」魔物の爪が顔の前を掠め、頬に一筋、生温かいものが流れる。剣を構え直し、地を蹴った。 「…。」夕方になって、頬の傷が痛んだ。今日はソレイダ評議会と王家で飲み会だというのに、ついてない。「…そういえばリウさんも、」今年は議長になったようだ。彼女はいつも、俺を置き去りにしていく。