不倫のお話

ワールドネバーランド エルネア王国の二次創作。無断転載禁止。不倫の話です、R18。苦手な方はスルーして下さい。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

日記と記憶

帰宅すると、陽はもう沈みかけていた。家の者は誰もいなかった。西日に照らされた本棚に、手を伸ばした。手に取った本は、赤い装丁に銀色の文字が並んでおり、レシピ帳と書いてあった。レシピ帳とは名ばかりだ。魔力を込めると、銀色のインクは消え、日記帳…

冬の始まり

紅葉した木々は葉を落とし、一段と冷える季節が始まった。暖炉に焚べられた薪はパチパチと火の粉を舞い上げた。「そういえばこんな季節だったな。リウさんがこの国に来たのも」「春直前とはいえ、寒かったよね」腕枕をされ、背中から抱きしめられるような格…

第2章 ルカのお話

おかげさまで、第1章 不倫のお話 を終えることが出来ました。ハートやコメント、いつもありがとうございます。明らかに文章が足りないところがありますが、そこは脳内補完して頂けたらと思います。第1章を読み飛ばしたい方へのまとめ。エルネア王国(オスキツ…

父親

アンガスの驚いた顔を見る人は、世の中にどのくらいいるのだろう。「本当に…」「多分」「そうか…」彼は顔を上げ、天を仰いだ。泣いているのか、笑っているのか、表情は見えなかった。「シズニよ、皮肉なものだな…」元奏士は、目を閉じて手を合わせた。アンガ…

群青色の瞳

「アンガス、」「アートさんが瘴気の森前で待っていたぞ。そこにいるのは…リウさん? 随分具合が悪そうだな」背の高い近衛が二人並んだ。「急に気持ち悪くなったみたいで。アンガス、暫くここにいるのか?」「ああ。今日は非番だから、ローナでも釣ろうと思…

秋風と共に

「ママー、たきいこー!」「オレもいく!」「ママはあたしといくの!」「じゃあオレはパパといくもん!」早朝から兄妹の賑やかな声が室内に響く。窓を開ければ、タダムとヤタリの木々がすっかり紅葉していた。 「二人共、朝食が終わってからね。せっかくのお…