不倫のお話

ワールドネバーランド エルネア王国の二次創作。無断転載禁止。不倫の話です、R18。苦手な方はスルーして下さい。

決意

「リウが話してくれたから、あたしも話すよ。

アッカーの方のホセさんとね、昔色々あってね」

「えええっ!?」


ホセ・イバン・アッカー。

農場管理会の中で知らない者はいない。

農場代表戦でいつも争う相手であり、毎年候補者に選ばれている。


「リウやあたしが代表やるまでは、あの人がずっと代表やってたんだよ。

あたしが就職したての頃はまだラダ小屋もちゃんとしてなくてね。干し草の管理なんかも自分達でやってた。

夜に雨が降ると、二人ですっ飛んでいったさ」


「ずっと一緒に仕事してきたんだ、そりゃ仲良くなってね。奥さんのコレットさんが亡くなって、それで…。

あたしもグレアムには悪かったと思ってるよ。まぁ思ってても罪は変わらないんだけどね」


「バレてないの?」


「今のところ何も言われてないけどね、分からない」


「ま、あたしは割り切る性格だからね。

あの時はホセさんも辛くてね。

慰めというかなんというか…。まぁ、今は何もないけど」

「そっか…」


「生きたいように生きな。

好きになっちゃったんだしさ、もう仕方ないよ。あたしはいつでもあんたの味方だよ」

「…うん」


彼女は、分かっているのだ。

私が引き返せない位置まで来ていることに。

どちらも捨てられないことに。


「ありがとう、カピトリーナ」

「ま、最悪みんなダメになっても、あたしの家くればいいよ」


ははっと豪快に笑う彼女に、つられて笑みがこぼれた。


 


カピトリーナと別れ、カルネ皇帝の橋の下に向かった。

川の畔に座り込み目を閉じると、草いきれの中に、川のせせらぎが聞こえてきた。


自分の理想像は、貞淑な良い奥さんだった。

夫と子供と幸せな家庭を築いて、仕事もしながら、温かい毎日を過ごす。


欲しかった未来は全て揃っていた。


愛するロニーと子供達。

仕事も順調で、今年は評議会のトップにまで上り詰めた。


なのに、憧れていた人に突然キスをされ、いつの間にか恋に堕ちてしまった。

いつか止めれば許されると思っていたが、ブレーキは手元になかった。


止めることも、割り切ることも出来ない。


それでも。

ロニーが好きで。

アンガスが好きで。


苦しいままでいいから、二人を好きでいたい。


河原の小石を一つ手に取り、握りしめた。

震えそうな体を、誤魔化すために。