帰宅すると、陽はもう沈みかけていた。家の者は誰もいなかった。西日に照らされた本棚に、手を伸ばした。手に取った本は、赤い装丁に銀色の文字が並んでおり、レシピ帳と書いてあった。レシピ帳とは名ばかりだ。魔力を込めると、銀色のインクは消え、日記帳…
紅葉した木々は葉を落とし、一段と冷える季節が始まった。暖炉に焚べられた薪はパチパチと火の粉を舞い上げた。「そういえばこんな季節だったな。リウさんがこの国に来たのも」「春直前とはいえ、寒かったよね」腕枕をされ、背中から抱きしめられるような格…
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