親友
「いたた…」
ラダの小屋で餌を補充しようと屈んだら、腰に痛みがはしった。
昨日は一日中と言っていいほど抱かれていた。
しかも二人に。
自分の貞操が守れなかった後悔と、二人への愛が一塊となって、心に重くのしかかる。
「この先どうしたらいいんだろう…」
ため息が出る。
嬉しい反面、悩ましい毎日をこれからも過ごしていくのだろうか。
「この先よりも、まずはラダの世話! でしょ?」
「…カピトリーナ!」
カピトリーナは、初めて農場管理会に入った当時の、農場代表だ。
先輩であり、初めて出来た親友でもある。
「珍しいね、いつも感情を出さないあんたが、そんなため息ついちゃって」
「…」
「議長の仕事が大変なの?」
「ううん…」
「リウ、お昼食べに行こう。そんな顔されてたら、あたしまで気が滅入っちゃうよ」
「…」
黙って頷いた。
いつもなら笑って誤魔化していたのに。
家族に言えないことだって、何だって言ってよ!
と親友になる時の約束を思い出していた。
本当にそんな時がくるなんて。
………
「あら、今日も仲良しね。カピトリーナの分はガーブ草抜いておいたからね」
「ウィアラ、ありがと。あの風味はいつまでたっても慣れないね…」
テーブルにラゴステーキが並べられた。
彼女のメニューでは隠し味にガーブ草が入るのだが、カピトリーナはそれが苦手なのだ。
とろけるような脂ののったラゴステーキは、夏の定番だ。
小型の鉄板の上で、ジュウジュウと音が弾けている。
「やっぱ夏は冷やしたポムワインにラゴで決まりね。んー美味しい!」
「カピトリーナはラゴ大好きだもんね。ん、焼きたて美味しい」
ラゴステーキを食べ終え、ポムワインのおかわりを注文した。
シュワシュワする発泡酒なだけに、何杯でも飲めてしまう。
ほろ酔いで満足げなカピトリーナが、こちらに体を寄せてきた。
「…で、何があったって?」
話していいのか躊躇ったが、自分も限界だった。