嫌いじゃない
握りしめた転移石に魔力を込め、城壁の邸宅へ瞬間移動した。
「!?」
「…リウさん」
「な…どういうこと!?」
「すまない。もう限界なんだ。許せとは言わない」
彼女の後頭部を掴み、強引に唇を奪った。
息をする暇も与えない。
貪るように口の中を犯す。
「待っ…ん、」
もがく彼女の両腕を片手で纏め、壁際に押さえつけた。
もう涙なんて見えない。
「は、すまない、な…」
「なに、なんで、こんな、」
紡がれる言葉は、唇で塞いだ。
「んっ…あっ…は、ぅ、」
「そんな…顔して。煽っているのか?」
「ち、ちが、」
「何が違うって? 旦那以外の男からキスされて、何も抵抗しないのに?」
「だってそれは、貴方が押さえつけているからでしょ!?」
「本気で嫌なら、相手の舌ぐらい噛み切るだろ?」
言葉に詰まった彼女は唇を噛みしめると、目線を下に落とした。
ぽつりぽつりと、涙を浮かべながら、話し出す。
「…嫌いじゃ、ないから」
「……!」
押さえていた手が、緩んだ。