城壁の邸宅
階段を上がると、本を後ろに幾つも積み上げ、棚の掃除をする彼女がいた。
「…ア、アンガス!? 何で、」
「リウさん…昨日は本当に申し訳なかった」
驚く彼女を前に、両膝をついて頭を垂れた。
騎士の礼では済まない、罪人の礼だ。
「…!」
「…どうして、ああいうことを? あんなの、貴方らしくないよ」
「……すまない」
「酔っていただけなの?」
「…本当に悪かった」
「理由を教えて。本当はいつもこんなことしてるの?」
「違う」
「…じゃあ、なに?」
「……」
「それじゃよく分からな…あっ」
山のように積み上がった本がバランスを崩し、彼女の上に倒れてきた。
「危ないっ」
瞬時に手首を掴み、こちら側へ引っ張る。
ドサドサと本が床に散らばり、埃が舞い上がった。
「…大丈夫か?」
「あ、ありがとう」