宴
既に酒場は大盛況だった。
「遅いぞ、アンガス!」
「兄さん、すまない」
兄のティムはポムワインをすでに2本空けたようだった。
「お前もそろそろ結婚考えたらどうだ? 紹介するぞ?」
「いや、遠慮しておくよ」
そうか、と言い残し、ティムは他のテーブルについた。
「よっ、アンガス。飲んでるか?」
山岳兵団長のシーザーは、すっかり出来上がっていた。
「シーザーさん、お疲れ様です」
「5年連続モテキングおめでとう」
「まったく、嬉しくない称号ですよ」
「ブロサール家に婿入りするか?」
「…勘弁して下さい」
「シーザー、酔っ払いはちょっかい出さないの!」
「彼には彼の考え方があるのよ」
ベアトリスとリンジーか。
今年の評議会はベテラン揃いだな。
「はいはい。まぁ悩んだらうちに来いよ? 婿はいつでも募集中だ」
「…したけりゃしてるよ」
アヒージョを肴に、火酒を一気に煽った。
「あ、アンガス! お疲れ様」
「リウさんこそ、議長の初仕事お疲れ様」
「流石に緊張しちゃった」
「そりゃあね」
酒のせいか、リウさんはいつもより少し頬が紅く、色気さえ感じた。