不倫のお話

ワールドネバーランド エルネア王国の二次創作。無断転載禁止。不倫の話です、R18。苦手な方はスルーして下さい。

二日酔い

あの後、どうやって帰ったのか覚えていない。がばっと起きると、カーテンから朝の光が射し込んでいた。「…夢…か…?」服に目をやると、昨夜雨に濡れたままであった。吐息も酒臭い。おまけに酷い頭痛がする。「…最、悪だ、」苦笑しか出てこなかった。 抱き締め…

夢のような

眠りながら昔を思い出していた。ーーあの頃は、まだ旅人だった。陶器のような白い肌、風にそよぐ柔らかな髪。穏やかな微笑をたたえた彼に、一瞬心を奪われた。(こんな人…現実にいるんだ…) 「おかえり。あら、素敵な花束ね」「ウィアラさん、今日すごい人に会…

家族

…泣いていたらロニーに心配させてしまう。しっかりしないと。袖でごしごしと涙を拭い、家のドアを開けた。「おかえり、リウ」「ママおかえりー」「もーおそーい!」夫と二人の子供達が出迎えてくれた。 「皆待っててくれたの?」「何だか目が冴えちゃってね…

彼女の苦痛に歪んだ顔を見て、ハッと気づいた。「あ……」「…ごめん、私帰るね」ぽろぽろと涙を流しながら、逃げるように走り去っていく。一体何が起こったのか、自分でもよく分からない。「俺が…襲った…?」冷たい雨がぽつぽつ降り始めた。

最初の罪

「だから?って…。私にはロニーがいるの。子ども達だっている。こういうことは駄目」「ふん、だから何だと言うんだ? 抵抗しなかっただろう」「びっくりし過ぎて動けなかっただけ! あのね、酔ってるからって…」「酔ってなどいない」「酔ってるよ! 絶対おか…

酔った勢い

いつもなら酔わない量なのに、急に酒がまわってきた。視界が霞み、足元も覚束ない。「大丈夫? ふらついてるよ? もう少しで家着くから、ここでいいよ」「平気だ」「無理しないでいいから、ね?」「俺は、お前を護りたい」「な、何を言ってるの…?」 誰の意…

その日の夜

飲み会は夜3刻まで続き、酒豪達もふらふらしつつ帰路についた。「そろそろ帰る?」「送っていこうか?」「うん、お願いします」夜風が涼しく、心地よい。「夜まで飲んで、ロニーは怒らないのか?」「うん。1年に一度の付き合いだからって」「良い旦那だな」 …

既に酒場は大盛況だった。「遅いぞ、アンガス!」「兄さん、すまない」兄のティムはポムワインをすでに2本空けたようだった。「お前もそろそろ結婚考えたらどうだ? 紹介するぞ?」「いや、遠慮しておくよ」そうか、と言い残し、ティムは他のテーブルについ…

彼女と、彼女の愛する人々を護れれば。…近衛になった理由だ。ザシュッ!「…現を抜かしている場合ではないな」魔物の爪が顔の前を掠め、頬に一筋、生温かいものが流れる。剣を構え直し、地を蹴った。 「…。」夕方になって、頬の傷が痛んだ。今日はソレイダ評…

昔のこと

初めて会ったのは市場の前だった。「わぁ、素敵なお花ですね」振り返ると、旅人装束の女性がいた。フードから覗かせた無垢な笑顔に、心がときめいた。「旅の方ですか。よかったら、一つどうぞ」 「え、あの、恋人さんに悪いです」「恋人? 嗚呼、いないから…

その日

「おはよう、アンガス」「お早うリウさん」「今日も朝早くから探索?」「魔物討伐は近衛の仕事だからね」「がんばってね」「…ありがとう」その時はまだ、これから起こることなんて、夢にも思っていなかった。

片想い

ずっと片想いしていた人。親友のロニーと結婚して、幸せそうで何よりだ。まだ自分が結婚出来ないのは、この人がいるからなのだろう。 見かければ自然と目が行ってしまう。一日中仕事をした後でも、雨の日でも、いつも笑みを絶やさない。彼女が旅人でなかった…