不倫のお話

ワールドネバーランド エルネア王国の二次創作。無断転載禁止。不倫の話です、R18。苦手な方はスルーして下さい。

来訪者

コンコン、とノックする音が響いた。気づけば炎は消えていて、瞼を挙げればカーテン越しに日が差していた。「リウ、今入っていい?」「あ、はーい」ベッドの上で身を起こした。ドアがガチャリと開き、ひょこっと顔を覗かせたのはカピトリーナだった。彼女の…

焼き尽くされて

夢を見ていた。どこか懐かしい香りと共に、ロニーがいた。「リウ、好きだ…好きなんだ」抱きしめられた自分の体がぐにゃぐにゃと歪んでいく。「ごめ…」空いた口はキスで塞がれた。息が、できない。涙が止まらない。どうしてこんなに哀しいの。落ちた涙が服に…

ルカ

陣痛がきてからの時間は飛ぶように過ぎた。二人産んでいても慣れはしない。毎回、痛みで気が遠くなる。気がつくと、産声が邸宅に響いていた。「お母さん、頑張りましたね。元気な男の子ですよ」奏女のヴァレリアが、取り上げてくれた赤ちゃんをそっと産衣に…

農場管理会

彼女はふう、とため息を一つつくと、大きく背伸びをした。「さーて、仕事の時間だ。ま、リウはお休みしな」「いや、それは出来ないよ。今は人手不足だから、自分の役割は果たさないと」言いながら、水桶に手をかけた。だが、その手は誰かに優しく包まれ制止…

身重と農場

グローブの下でかじかむ手をさすりながら、空を仰いだ。雪が、粉砂糖をまぶすように降っている。「はぁ…今年は寒いなぁ」近くの井戸から水を汲み、ラダ小屋の前まで持ってきた。妊娠中の体では、水桶1つが限界だった。いつもなら人員が揃っている農場管理会…

日記と記憶

帰宅すると、陽はもう沈みかけていた。家の者は誰もいなかった。西日に照らされた本棚に、手を伸ばした。手に取った本は、赤い装丁に銀色の文字が並んでおり、レシピ帳と書いてあった。レシピ帳とは名ばかりだ。魔力を込めると、銀色のインクは消え、日記帳…

冬の始まり

紅葉した木々は葉を落とし、一段と冷える季節が始まった。暖炉に焚べられた薪はパチパチと火の粉を舞い上げた。「そういえばこんな季節だったな。リウさんがこの国に来たのも」「春直前とはいえ、寒かったよね」腕枕をされ、背中から抱きしめられるような格…

第2章 ルカのお話

おかげさまで、第1章 不倫のお話 を終えることが出来ました。ハートやコメント、いつもありがとうございます。明らかに文章が足りないところがありますが、そこは脳内補完して頂けたらと思います。第1章を読み飛ばしたい方へのまとめ。エルネア王国(オスキツ…

父親

アンガスの驚いた顔を見る人は、世の中にどのくらいいるのだろう。「本当に…」「多分」「そうか…」彼は顔を上げ、天を仰いだ。泣いているのか、笑っているのか、表情は見えなかった。「シズニよ、皮肉なものだな…」元奏士は、目を閉じて手を合わせた。アンガ…

群青色の瞳

「アンガス、」「アートさんが瘴気の森前で待っていたぞ。そこにいるのは…リウさん? 随分具合が悪そうだな」背の高い近衛が二人並んだ。「急に気持ち悪くなったみたいで。アンガス、暫くここにいるのか?」「ああ。今日は非番だから、ローナでも釣ろうと思…

秋風と共に

「ママー、たきいこー!」「オレもいく!」「ママはあたしといくの!」「じゃあオレはパパといくもん!」早朝から兄妹の賑やかな声が室内に響く。窓を開ければ、タダムとヤタリの木々がすっかり紅葉していた。 「二人共、朝食が終わってからね。せっかくのお…

昼下がりの邸宅で ※R18

「行ってらっしゃい」夫と子供達を見送る、いつもと同じ朝の景色。転移石に魔力を込めれば、いつもと違う昼下がり。………「リウさん…」「アンガス…」抱きしめられ、触れられた肌は燃えるように熱くなる。心が弾けそうなほど、鼓動が高鳴った。唇を、彼の長い指…

決意

「リウが話してくれたから、あたしも話すよ。アッカーの方のホセさんとね、昔色々あってね」「えええっ!?」ホセ・イバン・アッカー。農場管理会の中で知らない者はいない。農場代表戦でいつも争う相手であり、毎年候補者に選ばれている。「リウやあたしが…

綺麗でない世界

話し始めると最初は口をぽかんと開けて驚いていた彼女だったが、最終的に口を閉ざし、うんうんと唸っていた。「…もうどうしたらいいか分からない。自分のことなのに、何も決められないなんて。何がしたいのかも分からない」「うーん…予想外にこれは難題だね…

親友

「いたた…」ラダの小屋で餌を補充しようと屈んだら、腰に痛みがはしった。昨日は一日中と言っていいほど抱かれていた。しかも二人に。自分の貞操が守れなかった後悔と、二人への愛が一塊となって、心に重くのしかかる。 「この先どうしたらいいんだろう…」た…

家族の眠る邸宅で ※R18

肩にまわされた手が下に降り、胸を優しく撫で始めた。触られた部分が、痺れそうなほど熱を帯びる。「んっ…」「今日はそんなに気持ち良いの?」「なんか今日変、かも、ごめん、」「お酒でも飲んだ? 可愛い」耳元で囁かれ、熱い吐息にも体が反応する。胸を揉…

ロニーの夜

その夜のことだった。ベッドでうとうとしていると、部屋のドアが開いた。「…リウ」「ロニー?」「よかった、起きてた」「どうしたの?」ベッドから身を起こすと、ロニーが隣に座った。 「最近、何だか色っぽいよね」「…え?」肩に手をまわされ、顎を持ち上げ…

帰り道

行為を終えても、終わったという感覚がなかった。服を着て身なりを整えると、手を繋ぎ、額にキスをした。「そろそろ、戻らないとまずいな」「うん…」気づけば西日が差していた。照らされた壁がオレンジ色に染まっている。名残惜しいが、致し方ない。 次なん…

誰も居ない邸宅で ※R18

誰も居ない城壁の邸宅に、水音が響く。「っ…ふ、ぅ」艶めいた声を混じらせながら喘ぐリウさんは、息をのむほどに美しい。カーテンのない窓辺から光が差し込む。華奢な身体とは思えないほど豊満な胸があり、服を脱がしたい欲に駆られる。唇を離すと、唾液が銀…

堕ちていく

「私の間違いじゃなければ、きっと、私のこと好きだったんだよね?」「…ああ。俺は今でも好きだ」「…うん。知ってた」「何度も王家に背こうと思っていた。結婚した時は、これで諦めがつくと思って、ほっとしたものだ」「そっか、だからあの時…真っ先にお祝い…

嫌いじゃない

握りしめた転移石に魔力を込め、城壁の邸宅へ瞬間移動した。「!?」「…リウさん」「な…どういうこと!?」「すまない。もう限界なんだ。許せとは言わない」彼女の後頭部を掴み、強引に唇を奪った。息をする暇も与えない。貪るように口の中を犯す。 「待っ……

明けない夜

夜4刻まで、浴場から出る事が出来なかった。普段とは違ったリウさんを、まざまざとロニーに見せつけられた気がした。そして、あんな破廉恥な行為をする彼女に驚いた。それに興奮してしまった自分も居た。ふらふらと帰宅し、自慰行為をした後、2回嘔吐した。…

浴場で

予想通り、バシアス浴場には誰も居なかった。深夜になると、広い空間を独り占め出来るのだ。浴槽に入り、ため息をつく。身も心もさっぱりしそうだ。余計な汚れた思考は、消さなくては。 身体を拭いて、帰り支度を終えた時、眼鏡を浴槽の淵に置いてきたことに…

夏の出来事

夏が始まった。暑くて、外に出るのが億劫になる。「おはようアンガス」「お早うリウさん」「ご機嫌だね。なにかいい事でもあったの?」「ああ、大した内容ではないけれどね」…前言撤回。「これから探索?」「ああ。夏になるとペピッサが大量発生するんだ」「…

自覚

「…埃、髪についてる」「えっ、あ、ありがと…」危うく素面でも過ちを犯しそうになり、すんでのところで抑えた。…次こそは大切にしなければ。儚い天使のような微笑みを、護らなくては。「入り用の時はいつでも言ってくれ」「う、うん」「じゃあまた」 ………アン…

手を

「随分と書物が多かったな。ただ埃を拭いて整理するだけで、ここまでかかるとは」「お疲れ様。私の仕事なのに、手伝ってくれてありがとね」「いや、いいんだ。元はと言えば俺が悪いのだから」本の片付けを一通り終えた。これで、彼女と定期に会う機会はなく…

本の片付けなどと言いくるめて、下心が無かった訳ではない。反省はしているが、会いたいのもまた事実だ。そう、揺るぎない事実なのだ。一度でも触れてしまったら。もう止めることができない。 「まるで炎だな」恋い焦がれるとはよく言ったものだ。燻っていた…

「はぁ…」結局掃除もそこそこに、逃げるように帰宅して、紅茶を淹れた。「何も訊けなかったし断れなかった…」掴まれた手首が熱を帯びたようにジンとする。初めての感覚に身震いした。ロニー以外の男性にキスされたことなんてなかった。しかもあんなに強引に…

償いなんて

気づくと、彼女が半分覆い被さるような体勢になっていた。体温を感じて再度昨夜を思い出し、鼓動が早くなった。「あ…わっ! ご、ごめんなさい!」「怪我はないか?」「う、うん」彼女は慌てて顔を背け、服についた埃を払った。「そ、そういえば。何故この邸…

城壁の邸宅

階段を上がると、本を後ろに幾つも積み上げ、棚の掃除をする彼女がいた。「…ア、アンガス!? 何で、」「リウさん…昨日は本当に申し訳なかった」驚く彼女を前に、両膝をついて頭を垂れた。騎士の礼では済まない、罪人の礼だ。「…!」 「…どうして、ああいう…