不倫のお話

ワールドネバーランド エルネア王国の二次創作。無断転載禁止。不倫の話です、R18。苦手な方はスルーして下さい。

第2章 ルカのお話

おかげさまで、第1章 不倫のお話 を終えることが出来ました。


ハートやコメント、いつもありがとうございます。

明らかに文章が足りないところがありますが、そこは脳内補完して頂けたらと思います。



第1章を読み飛ばしたい方へのまとめ。


エルネア王国(オスキツ国)第三王子アンガスは、5年間ある女性に恋をしていた。

その名はリウ・ローザ。


しかし国の掟により、元旅人のリウと結ばれることはなかった。

リウは既にロニーと結婚しており、二人の子供がいた。


様々な出来事が重なり、二人は逢瀬を重ねるようになる。

いつしかリウは妊娠し、ルカと名付けることを決めたのであった。




父親

アンガスの驚いた顔を見る人は、世の中にどのくらいいるのだろう。

「本当に…」
「多分」
「そうか…」
彼は顔を上げ、天を仰いだ。
泣いているのか、笑っているのか、表情は見えなかった。

「シズニよ、皮肉なものだな…」

元奏士は、目を閉じて手を合わせた。



アンガスは祈りを終え、木漏れ日を眺めていた。
答えを待つのが、恐くなった。

「…今はどういう気持ちなの?」

「もしそうだとしたら、嬉しい」

目線を戻した彼は、心の底から嬉しそうな顔をしていた。

父親は、ロニーだ」
「…うん」
「ずっと、ロニーだ」
「……」
父親として一生関わることはないだろう、と呟いた。

「だが、その子の幸せは俺の幸せだ」

陽だまりのような微笑みに、返す言葉が見つからない。
目に溜まる涙が流れないよう、必死で堪えた。

「帰り支度をしよう。歩けるか?」
「うん」
膝についた土を払い、立ち上がった。
「具合は?」
「落ち着いた、ありがとう」

頭をぽんぽんと撫でられた。
「俺のことは心配するな。その子と会える日を、楽しみにしている」
「うん…わかった」

二人で歩く道が、もっと長かったらいいのにと思った。

「名前は考えているのか?」
「ううん、まだ」 
「そうか…そうだな」

眉をひそめ、真剣に考え始める彼を見て、やはり父親なのだなと思った。

「この子には幸せになってほしい。俺とリウさんが結ばれなかったような、辛い思いはさせたくない」
「そうだね」
「そんな願いを込めて、ルカ、とはどうだろうか」
「ルカ…光という意味だね。良い名前」

行く先に幸あらんことを。

過ちも不幸も、繰り返さない為に。



第1章 不倫のお話 end


群青色の瞳

「アンガス、」

「アートさんが瘴気の森前で待っていたぞ。そこにいるのは…リウさん? 随分具合が悪そうだな」


背の高い近衛が二人並んだ。

「急に気持ち悪くなったみたいで。アンガス、暫くここにいるのか?」

「ああ。今日は非番だから、ローナでも釣ろうと思ってな」

「…すまないが、リウに少し付いていてもらえないか? この状態で放置する訳にもいかないが、アートさんを待たせることも出来ない」

「分かった。後で家まで送っていく」

「ありがたい、頼む」

ロニーは子供達を連れ、後ろを振り返った。

「リウ、ごめん…!」


ロニーの姿が見えなくなると、群青色の瞳がこちらを見つめた。

「陽射しに当てられたのか? 暫く休むといい」

手を額にあて、熱はないようだな、とアンガスは呟いた。


そのまま髪を梳くように撫でられた。

ひんやりとした冷たさが心地よく、目を閉じた。


時が、川のせせらぎと共に流れていく。

気分の悪さも、洗い清められるようだった。


うまく働かない頭でも分かった。


この症状は以前に体験したことのあるものだった。


時期を逆算すれば、ちょうどアンガスとの逢瀬を始めた頃だーー。


「まさか…」

「ん? どうした?」

「……その、つわり、かも」

「悪阻? そうか…それはめでたいことだな」


目を細めるアンガスは、おそらく分かっていない。


「じゃなくて」

「?」

「貴方の…」



 

秋風と共に

「ママー、たきいこー!」

「オレもいく!」

「ママはあたしといくの!」

「じゃあオレはパパといくもん!」

早朝から兄妹の賑やかな声が室内に響く。


窓を開ければ、タダムとヤタリの木々がすっかり紅葉していた。


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「二人共、朝食が終わってからね。せっかくのお休みだから、皆で行こう? ね、ロニー」

「そうだね。マリン、スノウ、ごはんの準備は?」

「やった! スノウ、じゅんびいそげ!」

「マリン、はやくおさらはこんで!」


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柔らかな秋風が身を包む中、家族で手を繋いで歩く。


虫を捕まえてはしゃぐマリンと、沿道に咲く花を指差し、名を訊ねてくるスノウ。

繋いだロニーの手は、いつものように温かい。



「とうちゃーく!」

「みて、おさかな!」


水面は朝日でキラキラと輝き、木々の姿を映している。

肌寒い季節になった分、空気が澄んだように思えた。


時折魚の姿が見え隠れし、その度に子供達から歓声があがる。

ロニーと共に大きな岩に腰掛け、それを見守った。

「ふふ、何だか子どもの頃を思い出しちゃうね」

「リウも川で遊んでいたの?」

「うん。昔はおてんばだったみたい、よく言われたよ」

「へえ、想像つかないな」

「ロニーは子どもの頃と変わらない?」

「多分。あまり自分じゃ分からないけどね」

「うん、見てるとそんな感じがする」

「え、俺のことどう見てるの?」

「んー…ふふっ、内緒」

「気になるなぁもう」


クスッと二人で笑い合い、そのまま見つめ合った。

「目、閉じて」

少し低めの声で囁かれ、瞼を閉じると、唇に柔らかなものが触れた。

「…子供達が、」

「大丈夫、今は魚に夢中だから」

暫し、啄ばまれるような優しいキスに身を委ねた。


「さ、そろそろ帰ろうか」

「午後はアートさんと魔物討伐だっけ」

「そうだね。もっと一緒にいたかったけど、仕事だから…」

当番制で、近衛は毎休日に魔物討伐がある。

最近魔物の活動が活発になってきたため、新しく導入された制度だ。


腰を上げて子供達を呼ぼうとした瞬間、急激に吐き気が込み上げた。

「……っ」

思わずしゃがみこんだ。気付いたロニーが、顔を覗き込む。

「リウ、どうした?」

「……」

「顔が真っ青だ。気持ち悪い?」

黙って頷く。視界がぐにゃりとした。


子供達が心配して駆け寄ってきたが、しゃがんだまま動けない。

「先に、三人で、帰ってて?」

「こんな状態でおいていけないよ」

「だって、仕事…」 


「おい、ロニー。今日は当番ではなかったのか?」

返答に窮するロニーの後方から、聞き慣れた声がした。


 


 

 

昼下がりの邸宅で ※R18



「行ってらっしゃい」

夫と子供達を見送る、
いつもと同じ朝の景色。

転移石に魔力を込めれば、
いつもと違う昼下がり。


………


「リウさん…」
「アンガス…」
抱きしめられ、触れられた肌は燃えるように熱くなる。
心が弾けそうなほど、鼓動が高鳴った。

唇を、彼の長い指先で撫でられ、痺れるような感じがした。
「そんな反応をして。これからすることを想像したのか?」
恥ずかしくなって俯くと、顎の下を持ち上げられ、目線が合った。

「また我慢出来そうにないな」

深く口づけをされた。
ざらりとした舌が、自分の舌と絡み合い、唾液が混ざってチュクッという音が聞こえた。
さらに恥ずかしくなり、キスから逃れようとすると、手首を掴まれた。

「逃がさない」

低い艶やかな声で囁かれ、思わずぞくりとした。

壁に押し付けられると、舌が奥深くまで入ってきた。
口の中をぐちゃぐちゃに掻き回される。
唾液を全て舐め取られ、代わりに彼の熱い唾液が喉奥に流し込まれた。

「ん…うっ」
喉の粘膜までとろりとした液体に犯されれるような。
息苦しささえ快感に繋がりそうだった。

「リウは、こういうのが好きなのか?」

息継ぎをしていると、両手首を片手で纏められた。彼のもう片方の手はベルトを外している。

「え? な、なに?」
「こうした方が、いつもより感じる気がしてな」

あっという間にベルトが手首に巻かれ、両手の自由がきかなくなった。
そのままベッドに押し倒され、ベルトの端がベッド柵に巻き付けられる。

「待って、これ」
「本当はこういうの、好きだろう?」
「やっ…んっ」

抗議の声も虚しく、唇で言葉を奪われた。
器用な手つきで上の服が脱がされ、胸が露わになる。
ぷはっと口が解放されたかと思うと、今度は胸に降りてきた。

乳首をちろちろと舐められ、体が反応しないようじっと我慢するが、抵抗は虚しかった。
吸いつかれ、ぬるりと舐められると、吐息混じりの声が漏れた。

「…っん、ぁ」
「痛い方が好きなんじゃないか」
「ああっ」

さらに乳首を甘噛みされると、電流が流れたような快感がはしり、ビクッと大きく体がはねた。
拘束しているベルトがカチャカチャと金属音を響かせた。

痛いのに、それが気持ち良い?

知らない世界の扉が開かれそうで、怖くなった。

「や、だ…」
「嫌にしては、随分と気持ちよさそうだったな」

続けて乳首を何回も甘噛みされ、その度に体がビクビクと反応する。
手首を拘束された痛みも、かえって気持ちよさを増幅しているような気がした。

下の方へ突き抜けるような快感に、負けてしまいそうになる。
アンガスからの刺激を、様々な感覚で味わっている。

「こ、こんなの知らない…」
「俺も初めてだ。俺からの痛みで快感を得ているなんてな」
「ち、ちが…ふああっ」

耳を甘噛みされ、乳首を軽くつねられると、変な声が出そうになった。

「知らない…っ」
「なら教えないとな」
「ーーーー!!」

さらに強い力で噛まれ、つねられる。
痛いのに、信じられないほどの快感が流れ、力が抜けかける。

アンガスは悪戯っ子のような笑みを浮かべ、ほら、と囁いてきた。

そのまま顔が下に降りていく。
スカートの中を弄られ、タイツと下着がずり下ろされた。

「ちょ、ちょっと…!」

手を動かそうにも縛られて動けない。
食い込むベルトの痛みにもゾクゾクさせられる。

痛みの回路が気持ち良さに繋がりそうで、怖くなる。
このまま教え込まれてしまったら、おかしくなりそうだ。

「こうでもしないと、舐められないからな」
「舐めるって、やっ…ぁ」

秘部に熱いものが触れ、舐められているのだと分かった。
陰核をぐりぐりと舌で撫でられ、強い快感に嬌声が漏れる。

「あ…あっ」

ちゅ、と音を立てて肥大した陰核を吸われ、指が膣内に入ってきた時には、喘ぐことしか出来なかった。

長い指が容赦なく膣壁を擦りあげ、じゅぶじゅぶといやらしい水音が聞こえてきた。
上り詰めた快感が、弾けそうなほど限界に達した。

「も、だめ、いっちゃ…」

同時に指が引き抜かれ、快感の行き場がなくなってしまった。

アンガスはスカート内から顔を出すと、手の甲で口を拭い、自身の指先を見せつけるように舐めた。

「ひ、ど…」
「リウを見ると苛めたくなってな」
「意地悪」

手首の拘束を解かれ、膝をついて後ろ向きになるよう指示された。

「それに感じているじゃないか」
「……」

反論できずに黙っていると、突然太いものが膣内に挿れられた。

「なっ……ああああッ!」

そのまま強く腰を打ち付けられ、あまりの気持ち良さにイッてしまった。
体が追いつかず、ひくひくと小刻みに震える。

「すまないが、まだ苛めさせてくれ」
「だ、だめ、まって」
「待たない」
「いっちゃったばかりなの、おねがい」
「もっとはしたないリウを見せて」

ずりゅっ
グブッぐちゅっ

涼しい笑顔で、腰を何度も打ち付けられる。
熱くて硬いものが、敏感な膣内を行き来し、粘膜を犯していく。

「やああっ…ああっ…ん、う、はぁ…あっ…」

悲鳴に似た喘ぎ声が止まらない。
何度もイキそうになり、だらしなく開いた口から、唾液が糸を引いて滴った。

「は…可愛いな。もっと、」

パシンッ
乾いた音と共にお尻に軽い痛みがはしり、叩かれたのだと分かった。
ジンと痛みが残り、突かれる快感とごちゃ混ぜになる。

「は、あぁっ」
「凄く、中が締まるな…」

パシンッパシンッ
何度も優しく叩かれ、痛みで締まった膣が、太いものでずふずぶとこじ開けられる。

「あああああっ」

彼に教え込まれてしまう。

痛いのに気持ち良い。

「リウは、もっと、欲しい?」

無我夢中で、何度も首を縦に振る。

壊れてもいい。

もっと、欲しい。

金属音が聞こえ、首にベルトが巻かれた。ベルトの端を彼が持ち、軽く絞められる。

こんな家畜のような格好を、好きな人に見られている。
恥ずかしさと息苦しさが、快感をさらに加速する。

「ぐっ…ふ、ああっ」
「は、まるで、俺のものに、なったみたいだ」

ぐちゅっぐちゅっぐぶっ

「リウ、好きだ、愛している」
「あああっ…! ああッ!」

突かれる度に何度もイッてしまい、体が震える。
中から溢れ出た愛液が太ももに流れていく。

彼は背中に覆い被さると、左肩に思い切り噛み付いてきた。

鋭い刺激がはしる。

噛まれたまま膣奥を集中的に擦られ、イキすぎて意識が飛びそうになった。

「…そろそろ……ッ」

彼は短く息を吐くと、直後に中で脈打つ感覚がした。

繋がったまま、背中を抱きしめられる。
二人分の荒い息づかいだけが、部屋の中に残る。

「リウ、愛している。有難う」
「…ん……」

その温かさに、意識を手放した。

決意

「リウが話してくれたから、あたしも話すよ。

アッカーの方のホセさんとね、昔色々あってね」

「えええっ!?」


ホセ・イバン・アッカー。

農場管理会の中で知らない者はいない。

農場代表戦でいつも争う相手であり、毎年候補者に選ばれている。


「リウやあたしが代表やるまでは、あの人がずっと代表やってたんだよ。

あたしが就職したての頃はまだラダ小屋もちゃんとしてなくてね。干し草の管理なんかも自分達でやってた。

夜に雨が降ると、二人ですっ飛んでいったさ」


「ずっと一緒に仕事してきたんだ、そりゃ仲良くなってね。奥さんのコレットさんが亡くなって、それで…。

あたしもグレアムには悪かったと思ってるよ。まぁ思ってても罪は変わらないんだけどね」


「バレてないの?」


「今のところ何も言われてないけどね、分からない」


「ま、あたしは割り切る性格だからね。

あの時はホセさんも辛くてね。

慰めというかなんというか…。まぁ、今は何もないけど」

「そっか…」


「生きたいように生きな。

好きになっちゃったんだしさ、もう仕方ないよ。あたしはいつでもあんたの味方だよ」

「…うん」


彼女は、分かっているのだ。

私が引き返せない位置まで来ていることに。

どちらも捨てられないことに。


「ありがとう、カピトリーナ」

「ま、最悪みんなダメになっても、あたしの家くればいいよ」


ははっと豪快に笑う彼女に、つられて笑みがこぼれた。


 


カピトリーナと別れ、カルネ皇帝の橋の下に向かった。

川の畔に座り込み目を閉じると、草いきれの中に、川のせせらぎが聞こえてきた。


自分の理想像は、貞淑な良い奥さんだった。

夫と子供と幸せな家庭を築いて、仕事もしながら、温かい毎日を過ごす。


欲しかった未来は全て揃っていた。


愛するロニーと子供達。

仕事も順調で、今年は評議会のトップにまで上り詰めた。


なのに、憧れていた人に突然キスをされ、いつの間にか恋に堕ちてしまった。

いつか止めれば許されると思っていたが、ブレーキは手元になかった。


止めることも、割り切ることも出来ない。


それでも。

ロニーが好きで。

アンガスが好きで。


苦しいままでいいから、二人を好きでいたい。


河原の小石を一つ手に取り、握りしめた。

震えそうな体を、誤魔化すために。




 

綺麗でない世界

話し始めると最初は口をぽかんと開けて驚いていた彼女だったが、最終的に口を閉ざし、うんうんと唸っていた。


「…もうどうしたらいいか分からない。自分のことなのに、何も決められないなんて。何がしたいのかも分からない」

「うーん…予想外にこれは難題だね」


「いきなり色んなことが舞い込んできたんだ、そりゃ仕方ないよ」

「うん…

「皆言わないけどさ、そんなことやってるよ。綺麗な世界なんてないから。

ただ、一度結婚したら別れられない。それがこの国の決まりだから、守ってるだけ」


「良いことか悪いことかと聞かれたら、バレたら誰かを傷つけるっていう点では悪いこと。

だけどさ、一夫多妻な国だってあるんだよ? 

そういう通念のある国では、傷つく人は少ない。

正直、不倫自体が人間として悪いことかって聞かれると、それは違うような気がするな」


「うん…」

ロニーの哀しげな顔を思い浮かべると、気が重くなった。


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「あの王子もさ、『俺だけが好きなんだ』なんて言ってくれてるんでしょ。元はといえばソイツが誘ったわけだし、そっちは傷つかないさ。

問題は旦那だね。そこだけ。」


「今さらどう足掻いても罪は消えないよ。バレたらおしまい、結果は変わらないさ。

でも、同じ背負うなら、愉しく生きた方が良いんじゃないの?」

「……」


そう、罪は消えない。


分かっていたつもりだったけれど、改めて言われるとショックを受けた。



俯いたまま、暫し時が過ぎた。


カピトリーナは4杯目のポムワインを空けると、頬杖をついて微笑を浮かべた。


「あたしもさ、そんな時代があったよ」

「うん……ええっ!?」


思わず、ワイングラスを落としそうになった。